わいせつな写真を載せたFacebookの投稿で、あるタイ人女性が公にポルノ写真や映像を販売していた。しかし、そこに写っていたのは彼女自身ではなかった。実は、彼女は9歳の娘の売春を斡旋し、それを撮影、販売していたのだ。
2022年7月11日夜、市民が彼女の投稿を警察に通報したあと、警察がタイ中部のサラブリー県にあるこの25歳女性の自宅を訪れた。彼女は15歳未満の少女の売春斡旋、未成年者への虐待の共謀、タイでは違法であるポルノの所持で逮捕された。
Videos by VICE
かつて自身もセックスワーカーとして働いていた、地元の報道ではチャントラ(Chantra)としか明かされていないこの女性は、少なくとも5回、娘の売春を斡旋した。彼女は児童への性行為で2000〜5000バーツ(約7600〜1万9000円)、その撮影で100〜200バーツ(約380〜760円)の罰金を科される、と警察は地元メディアに語った。
チャントラは、家庭の貧しさを理由に娘の売春斡旋とビデオ販売を行なったと主張しているが、警察によれば、彼女の銀行口座には約10万バーツ(約38万円)もの貯金があり、その大半が娘の売春と映像の売上げだと考えられている。
チャントラによれば、虐待の始まりは2021年4月、ある男がFacebookで3000バーツ(約1万1000円)で娘の売春を依頼したことがきっかけだったという。彼女は同意し、娘をバンコク近郊のナコーンパトム県のホテルに連れていき、そこで男と娘の性行為を撮影した。その後、彼女はFacebookでそのビデオを500〜800バーツ(約1900〜3000円)で他の男たちに販売した。
親子はその道中、チャントラの夫で娘の継父である男性と一緒だったが、彼はその日に起きたことを何も知らなかったという。彼はチャントラに、娘の個人的な用事を済ませてくるからと近くのショッピングモールで待つようにいわれた。ふたりが戻ってきたとき、少女に動揺した様子はなかったため、なんの疑いも持たなかった、と彼は語っている。
7月13日、裁判所はチャントラと2人の男の拘留期間を12日間延長するという警察の要求に同意した。2人の男、58歳のチャキーフ・チェンチョブ(Chakhif Chuenchob)と33歳のソツァフォン・ケンサワット(Thotsaphon Kaensawat)は、金と引き換えに少女との性行為に及んだとされ、児童性的虐待の共謀、13歳以下の児童への性的虐待、ポルノ所持の罪に問われている。
現在、タイ当局はさらに捜査の手を広げ、チャントラの娘と性行為を行い、彼女のビデオを購入し広めた他の人物を探しており、これらの犯罪者も法的措置を受けることになるだろうと警告している。
バンコクを拠点とする子ども支援のNPO法人〈Childline Thailand Foundation〉の事務局長、イリア・スミノフ(Ilya Smirnoff)は、この事件はタイの子どもたちが直面している、蔓延する性的暴行のおぞましい一例だとVICE World Newsに語った。
「母親がやっているのですから、とんでもないことです」とスミノフ事務局長はいう。「しかし問題は、このようなとんでもない事例が他にもあるということです。母親が娘の売春を斡旋した事件は過去にも起きています」
タイでは2019年、19歳の精神障がい者の娘に売春させ、相手の男たちを恐喝したとして母親が逮捕された。2018年のおとり捜査では、タイ北東部の麻薬ネットワークの傍らで10代の集団売春が明らかになり、親たちがメタンフェタミンと引き換えに娘の売春を斡旋していたことがわかった。2015年にも、35回売春を斡旋された13歳の娘が妊娠したことをきっかけに、別の母親が人身売買で有罪判決を受けている。
「子どもたちを支援するための予防、報道、教育のシステムが不十分なので、こういう事件はこの先も起こるでしょう」とスミノフ事務局長は付け加えた。
More
From VICE
-
De'Longhi Dedica Duo – Credit: De'Longhi -
We Are/Getty Images -
Photo by tang90246 via Getty Images -
Credit: SimpleImages via Getty Images